「いろはす」の戦略を読み取る、、

2021年8月29日(月)皆さん、こんばんは!

7月に開幕した東京オリンピックから現在は東京パラリンピックに舞台は変わって、

連日その様子がテレビで放送されています。

さて、気づいている方も多いと思いますが、オリンピックとパラリンピックの公式

ドリンク、つまり試合中の選手に供給される飲み物はあの「いろはす」が登場して

いますね。

透明のボトルに淡い緑色のキャップ、ひと目みてそれは「いろはす」であることに

気づきます。

公式スポンサーの1社、コカ・コーラ社の提供によるものです。

さて、これまでのスポーツドリンクと言えば「アクエリアス」や「ポカリスウェット」

ですが、この2品ではなく単なる水である「いろはす」がなぜ登場しているのでしょうか?

実はアクエリアスやポカリスウェットは「アイソトニックウォーター」というカテゴリー

にあり、平常時の人間の体調に合わせて吸収しやすい成分で構成されている飲み物です。

心臓や筋肉に負荷をかける試合中など体を動かしている時に飲用するのに適しているのは

「ハイポトニックウォーター」と言って、体に吸収しやすい成分構成になっています。

具体の商品で言うと「VAAM」や「amino vital」になります。

コカ・コーラ社は「ハイポトニックウィーター」を製造していないようですので、試合中

までカバーしようと思うと適した自社製品がありません。

また、個人的な感想ですが、アクエリアスは糖度が高いように感じ、スポーツ時に飲むには

甘すぎる感があります。高知龍馬マラソンでもアクエリアスが提供されていますが、その提供

場所のアスファルト路面は時間が経つとベタベタしてシューズが路面にくっつく感じがあるほど

です。あれはきっと砂糖が為す技ではないでしょうか。笑

おそらくどんな場面でも、どんな体質の選手でも飲用できるのは「水」と言うことで、「いろはす」

に白羽の矢がたったのではないでしょうか。

日本人のメダリスト史上最少年齢を記録した女子スケートボードの西矢選手なども「いろはす」

を競技中に飲んでいた姿がテレビで放送されていました。

サッカー男子の日本代表が準決勝でメキシコに敗れた時、芝生に座り込むエースの久保選手の傍らに

置かれた飲み物も「いろはす」でした。この場面は久保選手以上に印象的でした。

その他、世界各国の有名選手が「いろはす」を手に持つ姿や飲み干す姿が度々放送されています。

そういった意味では「いろはす」はこれまでのペットボトル水飲料の中から頭一つ抜きん出て、

世界レベルの飲み物になったようにも感じます。

ただ、コカ・コーラ社にその欲が無いようで、「いろはす」のサイトを見ると日本語しか対応

していません。英語対応や多言語化しないのでしょうか、、

東京オリンピックとパラリンピックのロゴマークがボトルのラベルに印字されているのみ、

その関連を伺うことができますが、それ以上に押してくるものはありません。

コロナ混乱社会においてスポンサーを務めることのメリットとデメリット双方を天秤にかけて

そんなに大々的なプロモーションを打つことはブランドにとって得策ではない、と判断して

いるものと思われます。当初の予定から1年遅れの開催であることも、その遅れた期間分の

広告費用までかけることも収支合わず、と考えていると想像します。

いずれにしても、気づいている人は気づいている「いろはす」のオリンピック・パラリンピック

での露出。コカ・コーラ社にとってはそのふんわりとした露出が重要、ということなんでしょう。

この「ペットボトル水」のジャンルは、さまざまな種類のものが国内外メーカーから発売されて

いますが、基本的に「価格競争」にあります。つまり安い方を消費者は選ぶ、という構図です。

そこで水メーカー各社は価格以外の要素で頭ひとつ抜きん出よう!と画策しているわけです。

今回の「いろはす」の露出はまさにその戦略のひとつになりうるものでした。

が、オリンピック開催反対論も渦巻く中でしたので、コカ・コーラ社が国内世論に忖度して

、また収益性を考慮して広告露出を極端に減らした、というのが結果だったように思います。

アクセルとブレーキ、企業経営や商品ブランディングの難しいところがこういったところに表れて

います。

ただ、「いろはす」は元々「寄付つき商品」でもあり、全国各地の河川の自然環境や水質を守る

活動を行う非営利活動団体などにその活動資金を寄付する、という性格も併せ持っています。

私もNPO法人向けのファンドレイジングセミナーや企業の寄付つき商品企画のプログラム時に

この事例を紹介しています。

今回はその「寄付つき商品」「オリンピック公式飲料」としてのキャラクターを加える戦略、

という私の見解です。

ということで私も今日は「いろはす」と共に真夏の太陽の下、気分はオリンピアン!という

感じでランニングに出掛けてました。

あまりの暑さで途中思わず座り込んでしまいました。笑

でも、これからの「いろはす」の動向に注目しています!