「月見」を食べ比べてみた♫ さて、その評価やいかに?

2022年9月19日(月)皆さん、こんにちは!

9月に入り、これからいよいよ本格的な「秋」に入ります。

秋と言えば、「中秋の名月」ということで、あの有名なハンバーガーチェーンが

秋の月を愛でることに引っ掛けた「月見バーガー」を登場させるシーズンですね。

ということで、その「月見」に引っ掛けたハンバーガーのマーケティングに注目して

食べ比べてみました。

 

では食べ比べた各社の「月見」に掛けたハンバーガーたちのメインビジュアルを紹介します。

まずは、マクドナルドから。

今年はこの3種類で、ハンバーガーの新メニューは「こく旨すき焼き月見」です。

ちなみにマクドナルドがこの「月見」を始めたのは1991年だそうで、なんと今年で32年目を

迎える長寿企画なんです。

 

そして次にケンタッキーですね。

ケンタッキーの「月見」は4種類のラインナップ。

同じくケンタッキーの「月見」スタートは2016年から、だそうです。

 

そして、今年の新顔は、、

モスバーガーです。

どうした?モス!というビジュアルですが、このテーマ設定はともかくとして

まずは食べて評価をしてみたいと思います。

では、3社の「月見」シリーズの横並び比較です。

上:モスバーガー「月見フォカッチャ」(520円)

左下:マクドナルド「こく旨すき焼き月見」(440円)

右下:ケンタッキー「とろ〜りチーズ月見和風カツサンド」(490円)

これを見て、まず感じるのはモスバーガーは包む紙はいつものもので、マクドナルドと

ケンタッキーはこの企画に合わせた包み紙を作っている、ということ。

また、価格もマクドナルドとモスバーガーでは80円の価格差があります。

 

では、包み紙を外して1品ずつ見ていきましょう。

マクドナルドの「こく旨すき焼き月見」です。

そして、ケンタッキー「とろ〜りチーズ月見和風カツサンド」です。

そして、モスバーガー「月見フォカッチャ」です。

まず、全社に共通するのはポスターでの見た目と違って、いずれも潰れてしまって見た目が

あまり良くないです。特にマクドナルドとモスバーガーは形が変わってしまっています。

モスバーガーのフォカッチャは中央にあるはずの半熟卵がはみ出しそうになっていました。

ケンタッキーのはなんとか形を維持しているように見えますが、ポスターのものとは違って

います。また、キャベツの色が全然違いますね。どうやらポスターに登場しているものは

色を加工しているのか、あるいは種類の違うキャベツを使っているのかもしれません。

こうして各社のものを並べてみると、その違いに気が付きます。

店内で食べるとこういう見た目ではないのかもしれませんが、3社ともテイクアウトも売上

の柱のはず。持ち帰った時の見た目についても潰れない、崩れない工夫が欲しいですね

 

さて、肝心の味や食感についてのレポートです。

1、マクドナルド「こく旨すき焼き月見」(440円)

普通の美味しさでした。すき焼きを具材に入れているので期待していたのですが、

チェダーチーズに味を支配されてしまって、すき焼き感を感じにくい仕上がりです。

あと、人工的な味と匂いでケミカルな風味に感じます。3社比較では価格もいちばん安い、

ということで値段相応の味かな、と感じます。ある意味、マクドナルドらしい味です。

 

2、ケンタッキー「とろ〜りチーズ月見和風カツサンド」(490円)

実はあまり期待していなかったケンタッキーなんですが、カツとソースとチーズ、そして

シャキシャキのキャベツが一体化して、食べ応えも味わいもまとまりを感じる美味しさ。

マクドナルドが人工的なら、こちらは手作り感を感じました。

 

3、モスバーガー「月見フォカッチャ」(540円)

ソーセージを使っている、バンズがフォカッチャであること、モスが初めて月見市場に

参入するということで、ユニークな見た目を含めてどんな味に仕上がっているのか、

ドキドキして食べましたが、味は「普通」でした。トマトソースの味が強いのです。

半熟卵が真ん中にいないので、落ちないようにそこを先に食べてしまうと、あとは

ソーセージとトマトソースにフォカッチャ生地の組み合わせで食べる部分が多く、

特に月見を意識するメニューでもありませんでした。

モスバーガーとしてはイタリアのフォカッチャを再現すること、そこに半熟卵を入れて

「月見」に引っ掛けること、そしてマクドナルドがミートパティなのでその裏をとって

ソーセージを使ったこと、これが一体化すると「普通」になってしまっていました。

「部分最適は全体最適にならない」という典型例を示しています。

あと、なぜアニメとコラボしたのか、、も謎です。これはモスバーガーのブランド価値

を高めてくれるようには思えません。ターゲットも一体どこに設定しているのでしょうか?

品質の良さ、味の良さで定評のあるモスバーガーですので、初めての月見には自分たちの

強みを存分に盛り込んだ商品をリリースしてほしかったですね。

 

各社のバーガーそれぞれのレポートはこういった内容ですが、もう一つ触れておきたいのは

各社のメニュー構成です。

マクドナルドはバーガー3種にスイーツ2種。

ケンタッキーは4種。

モスバーガーは1種。

これをどう見るか、、

飲食店の売上を上げるには、

■1回来店あたりの買上金額を上げる。

■リピート(再来店)を高める。

が重要です。

それで考えると、モスバーガーが弱いです。1種類のみでは、まとめ買いはあってもリピート

が弱いです。1品勝負ということでは分かりやすいのですが、1回食べたらそれで終わり、と

なる可能性もあります。

ケンタッキーは4種類を食べ比べる楽しみがあります。厳密に言えばチキンフィレと和風カツの

2種類にチーズをトッピングするかしないか、、をあえてポスターで見せて、選択肢を増やして

いるわけです。

マクドナルドも同じく選択肢のあるメニューで魅せています。特にスイーツがあるのが効果的

です。月見バーガーとスイーツ、という組み合わせで購買してもらえると客単価が上がります。

この辺りのメニュー構成をいかに戦略的に組み立てるか、、

各社の販売企画を立案するマーケティング担当者の力量が現れます。

(モスバーガーの場合は、おそらく急に組み立てた案件ではないか、、と推察。

理由は1品しかリリースしていないこと、フォカッチャとアニメに頼った仕上がりになっていること、

月見メニューのスタートが9月14日と3社の中でいちばん遅く、かつ中秋の名月9月10日を過ぎていたこと。

たぶん企画部はバタバタだったのでは、、と思います。)

 

という2022年の「月見」メニューの比較でした。

辛口評価も入れましたが、これまではマクドナルド1社が切り拓いたある意味独占市場だった「月見」

の世界に、各社が参入することでハンバーガー業界として注目度が高まり、購買意欲を喚起することに

繋がるので、結果的に客数や売上を上げることにつながります。

各社のメニューの出来栄えは年ごとに楽しむ個性として、消費者が選ぶ基準の一つになるでしょう。

さて、この「月見」という切り口をハンバーガー業界だけのものにせず、その他の飲食業界も取り入れて

みてはどうでしょうか。月を卵で見立てるか、あるいは丸くて黄色い食材を入れるか、工夫のしどころ

はたくさんあります。

もちろん同じ食を扱うスーパーマーケットの惣菜部門でも取り入れることができる「月見」です。

ここまでこのブログ記事を読んでくださった方で食にまつわる業界で勤める方、ぜひ参考にしてみて

ください。